当サイト登録獣医師が解説!
筆者には3匹の愛猫がいました。 去年2匹が虹の橋へ旅たち、先日最後の1匹がみんなの元へ旅たってしまいました。
ここ数年アメリカにいたのでずっと離れていたのですが、VISAの関係で帰らざる終えなくなり、自分としては夢半ばであまり帰りたくなかったのですが、筆者が帰ってきた次の日に息を引き取りました。
よく「誰かを待ってた」というエピソードを聞きますが、まさか自分に起きるとは思っておらず、ただただ胸がいっぱいです。 そして筆者の腕の中で苦しまずに旅たちました。
単なる偶然と言われればそれまでなのですが、私はやっぱり待っててくれたんだなと信じています。
まだまだ立ち直れず、写真も見たいけれど見ると涙が溢れるので見れず、ことあるごとに涙が出てきてしまいます。 時間が癒してくれるのは確かだと思います。 が、まだまだその「時間」が必要です。
でも猫さんは「毛皮を替えて戻ってくる」と猫好きの間でまことしやかにささやかれています。
なんて素敵な考えなのでしょう。
筆者はこれを信じています。
筆者は獣医師です。 獣医師だからこそ、病気を診断し治療するということの大切さをわかっています。
でも筆者は愛猫の診断も踏み込んだ治療もしませんでした。
愛猫は去年からうまく歩けなくなり、緩やかに食欲など元気がなくなっていきました。 たぶん脳や神経系の問題であることは明白で、MRIの画像検査も勧められました。 でも筆者はどれもしませんでした。
理由は「無理をさせたくないから」です。
獣医師としてはどうなんだとは思います。 しかし、そこで何か理由がわかったところで治療の方法は限られていること、もともと人などが好きではない愛猫に無理をかける可能性があることから、愛猫にとって正しい選択なのかわからないですが、自分の責任としてどれもやりませんでした。
ただごはんやお水が前にように食べたり飲んだりできなかったので、皮下点滴だけ週1回で通っていました。 この1回に意味があるのかどうかわかりません。 でもこの子のために何かをしてあげたという事実が時に心を救うことがあります。
そして万が一の場合は、「DNR」であることを動物病院には伝えていました。
DNRとは「Do Not Resuscitate」の略で、治療の拒否ではなく心肺停止の状態の際、心臓マッサージなどのいわゆる心肺蘇生を行わないという選択をいいます。
もちろん治療を行うことでその子の苦しみを和らげてあげたり、最後まで一生懸命戦うことが悪いわけでもなく、むしろ素晴らしいことです。 しかし一方で、治療をしないという選択肢が悪ではないことを知ってほしいなと思っています。
心の中にぽっかりと大きな穴が開いているような感覚があります。 それだけその子が中心の世界を送っていたこと、あんなに小さな体なのにその存在の大きさ改めて気付かされました。
もう黒い服を着ても毛がつく心配をしなくていいこと。
朝に無理やり起こされて寝不足にならなくてもいいこと。
一緒に寝てくれと誘ってくることに文句を言わなくていいこと。
今までめんどくさいなと思っていたことが、こんなにも愛おしい日常だったことに気付かされました。
今回は獣医医療とは離れたお話になってしまいましたが、少しでも家族の一員を亡くされ辛いお気持ちを抱えている方や、看取りをされている方などに届いてくれたら嬉しいです。
このコラムを執筆したのは
獣医師 加藤桂子この獣医さんに診察してもらう
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