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シニアの子たちとの向き合い方〜筆者の体験から〜

シニアの子たちとの向き合い方〜筆者の体験から〜

愛猫との出会い 

今回の主人公である筆者の愛猫は、元々飼い主さんがいたそうです。 

しかし、ある日車のボンネットに巻き込まれて頭を損傷し、血だらけの瀕死の状態で動物病院に運ばれたとのことです。 そこで手術になり命を取り留めましたが、その費用が払えず当時のオーナーさんは愛猫を病院に捨てて音信不通になってしまったようです。 

その病院で引き取ることになったそうですが、頭を損傷してしまっていたためか、 頭が傾いている クルクルずっと回っている 表情や感情が読めない などがあったため、筆者が会った時は暗い日光があたたない部屋で、犬用の病院ケージの小さなところに、ケージの半分をしめる臭いがこびりついた大きなトイレと一緒に10年入っていました。 

感情が読めないとはいえ、なんとなく人生を諦めたような目をしていてそれがとても印象的で、スペースがないので自分の吐いたもののうえにのって寝ている姿をみて、年齢もその当時すでに15歳ぐらいだったので、なんだかかわいそうでもう長くはないだろうから余生は自由にして欲しいなと思って、家族の了解は得られないまま連れて来たのが始まりです。 

シニアの子との生活 

すでに我が家に来た時にはシニアだった愛猫。 さらにクルクル回るなどがあったため、大変かなと思っていましたが、とても賢い子ですぐに馴染んでくれました。 

家族も最初はしぶしぶでしたが、最終的にリビング/ダイニング全体を愛猫のお部屋にして自由にさせました。 クルクル回りますが、大きな円になったおかげでお互いストレスもなくなり、逆に足腰の筋肉が弱くなってたので「いい運動になるね」ということで、愛猫ができるだけストレスなく生活できるように自由にさせることにしました。 

やはり年齢的に、遊んだりするのはほとんどなく、基本ずっとお気に入りの場所で寝ていました。 なのでほとんど手がかかることはなかったのですが、吐くことが多く、母親はごはんを粉にしたり、色々と吐かないように工夫してくれました。

 (筆者はもうその時にはおうちをでて違うところで暮らしていました) 

他には苦労したこととして、人との暮らしに慣れていなかったのもあり、もちろん性格自体も自立心が強い子だったので、お恥ずかしながら獣医の私も薬を飲ませられませんでした。

 なので母親とは、 

  • 病気になっても対処療法はするけど無理はさせない 
  • 万が一の時はDNR (Do Not Resuscitate)

ということを事前に決めていました。 

筆者の経験が全員に当てはまるわけではないですし、色々な考え方があるのでこれが正しいわけではないですが、万が一は突然やってくることもあります。 そのために、特にシニアの子と暮らしている方はきちんと方向性を考えていくことは重要なのではないかと思います。 

またもしご家族がいらっしゃる場合は、ご家族とも考えを擦り合わせてどうしたいか話し合い、方向性を決めて共有しおいた方がいいかと思います。いくら家族であっても命への向き合い方や考え方は違います。全員が納得できる答えをみつけるまでしっかり話し合いをすべきだと思います。

オーナーさんの心を守るということ 

さらに母親を見ていて感じたのが、やはり命あるものをお世話することはとても尊いことである一方で、負担がかかるのも事実だということです。決してきれいごとだけでは実際一緒に生活を送ることはできません。

愛猫は亡くなる1ヶ月ほど前からゆるやかに体調を崩したのですが、

  • 通院の大変さ
  • 1人で弱っていく愛猫のお世話をするという精神的な負担

など人の介護でもそうですが、身体的にも精神的にも大変なことがありました。

その時にオーナーさんの心を守るということも大切だと気付かされました。 どうしても動物にばかり目が向きがちですが、一緒に乗り越えようとがんばっているのはオーナーさんも一緒です。

オーナーさんはお家に篭りがちになってしまいますし、なかなか気分転換というのも難しくなってしまいます。 

そのような時に獣医師としてできることを考えた時に、オンライン診療も1つの手段として使っていただけたらいいなと思いました。たしかに採血したり、直接触れて治療をすることはできないですが、お話を聞くことはできます。 それがたとえ自分自身のお気持ちや、心にいつもしまって吐き出せないことであっても、ぜひお気軽にご連絡していただけたらなと思っています。 

まとめ 

母親のおかげで、愛猫はみんなに見守られて、おうちで穏やかに猫生を全うしました。 筆者は海外にいたため母親にすべて任せてしまい大変申し訳ないことをしてしまったと今でも思っています。 しかしそれ以上に感謝の気持ちが大きいです。

 シニアの子との時間は切ないけれど、とてもかけがえのない時間だと思います。最後の時間はやはりいつまでも覚えているもので、できるだけ素敵な時間を過ごしていただけたらいいなと願っています。 そのためには、動物もオーナーさんも無理をしないことが大切だと感じます。 

とりとめのない記事になってしまいましたが何か少しでも必要な人に届いてくれたら幸いです。


 

獣医師加藤桂子

このコラムを執筆したのは

獣医師 加藤桂子
  • 【経歴】
  • 2013年 日本獣医生命科学大学卒業
    2019年 大学にて研修医
    2019年 大学院修了
    2020年 大学にて教員
    2024年 アメリカの大学にてResearch Fellow
  • 【資格】
  • ・獣医師免許(2013年取得)
    ・普通自動車免許
    ・行動心理士

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