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避妊・去勢手術を考えてみよう

避妊・去勢手術を考えてみよう

避妊・去勢手術の意義 

避妊・去勢手術は、獣医療の独特の手術ではないでしょうか? 

多くのわんちゃん・ねこちゃんは、病気でもないのに正常な臓器をわざわざ手術をして取り除くので、オーナーさんの中にはやはりご心配される方もいらっしゃいます。 

「手術」の基本的な目的は、病気を治すことなので、そのお気持ちはとてもわかります。 

ではわざわざ正常な臓器をとる意味はあるのでしょうか。 

避妊手術 

避妊手術とは、女の子に特有の臓器である卵巣だけ、もしくは子宮と卵巣をとる手術をさします。 

避妊手術の大きな目的は「病気を防ぐこと」です。 

この病気とは 

  • 乳腺腫瘍 
  • 子宮蓄膿症 

などの卵巣と子宮があることで引き起こされるものを指します。 

乳腺腫瘍は、初めての発情の前に避妊手術をすることで100%に近い割合で発生を防ぐことができます(あくまで100%ではありませんので注意してください)。 

逆に初めての発情後に避妊手術をした場合、乳腺腫瘍を防げる確率は下がっていきますので、予防という観点で実施する意味はあります。 

また、子宮蓄膿症は緊急疾患です。 そして命に関わる病気です。 

これは名前の通り子宮に膿が溜まってしまい、放置してしまうと毒素が体の中に周り最悪の場合亡くなってしまう怖い病気です。 これは子宮自体がなければ起きませんので、避妊手術を行なっていればなることはありません。 

他の避妊手術の意義としては、発情期はとても辛いです。 食欲が落ちたりなど体調もいまいちになりますし、猫さんの場合は大きな声でなく、など一緒に暮らしている人にとってもつらい時間になってしまいます。 

去勢手術 

去勢手術は、男の子特有の臓器である精巣をとる手術になります。 去勢手術の大きな目的も「病気を防ぐこと」です。 

精巣腫瘍など精巣に関わる病気を防ぐことができます。 

さらに、わんちゃんの場合、会隠ヘルニアといって、お尻の横の部分の筋肉が弱くなってしまいそこから脂肪や臓器が出てきてしまう病気も、去勢していない男の子で多いと言われていますので、そちらを予防することにもつながります。 

さらに発情期には、特に猫さんですが、脱走が多くなるというお話もあります。 女の子を探して、お家から外にでてしまいいなくなってしまう、という悲しいことも起きています。 そのようなことを防ぐにも去勢手術はする価値があるのではないでしょうか。 

また去勢手術をすることで、性格が丸くなったり、テリトリーを守る行動 (猫さんのスプレー行動など) もなくなると言われています。 

(ただし「癖」になっている場合は治りません) 

どんな手術なのか 

あるSNSへの投稿で、避妊手術の料金がなぜこんなに高くなるのか、というような投稿を見たことがあります。 

どんな手術なのか、実際にはどういうことをしているのかわからないので、疑問に思ってしまう方がいるのもわかります。 

避妊手術は卵巣と子宮がお腹の中にありますので、お腹を開けて手術をします。 

去勢手術はお腹の外にありますので、お腹を基本的に開けることはありません。

 (まれに精巣が成長の段階であるべき場所に降りてこず、お腹の中に残っている場合があります。潜在精巣と呼ばれますが、この場合はお腹をあけて精巣を摘出します) 

そして手技も、もちろん全然違います。 

お腹を開けて手術をする避妊手術の方が、やや時間や技術が必要になります。 

どちらの手術をするにせよ、必ず「麻酔」を行います。 

麻酔とは、動物を寝かせ動かなくして、手術中〜手術後まで痛みがないようにするものです。 

手術中は、心拍数や呼吸数など体がちゃんと機能しているか、何かが起こってもすぐわかるように専用の機械で確認しながら行います。 一般的に行われている手術とは言え、しっかり管理をしないと最悪な事態を引き起こしてしまうことがあります。 

筆者は経験はないですが、避妊や去勢手術で残念ながら命を落としてしまうわんちゃん・ねこちゃんのお話を聞くことがあります。 

私たち獣医師、そして看護師さんたちはそのような悲しい出来事を防ぐために、連携をとって安全にそしてしっかりオーナーさんの元に帰れるように動物たちを守っているのです。 

また手術前になるべくリスクを減らすために、血液検査などの術前検査を行います。 

手術後もそれで終わりではありません。 わんちゃん・ねこちゃんの性格なども考慮し抜糸が必要ないように溶ける糸を使ったり、感染を予防するのに抗生剤を使用したち、なめたりしないように術後服を着せたりカラーをつけたりなど、終わったあとのアフターケアも必要です。 

まとめ 

多くのオーナーさんは獣医師からしっかり説明を受け、いいところも悪いところも理解した上で、決断されていると思います。 

とても大きな決断だと思いますし、麻酔や手術に対して怖いと思われる気持ちもわかります。 

最終判断はオーナーさんに委ねられています。 

しっかり正しい情報を取り入れて、不安なものはそのままにせずしっかり獣医師と話し合って決断してください。 

そして料金も選択の一つになるとは思うのですが、安い理由そして高い理由は必ずあります。

コストの面の良しあしもしっかり納得されて、どうぞオーナーさんにとってもわんちゃん・ねこちゃんにとって最適な選択をあれてください。

少しでもこのコラムが誰かの役に立てたら幸いです。

獣医師加藤桂子

このコラムを執筆したのは

獣医師 加藤桂子
  • 【経歴】
  • 2013年 日本獣医生命科学大学卒業
    2019年 大学にて研修医
    2019年 大学院修了
    2020年 大学にて教員
    2024年 アメリカの大学にてResearch Fellow
  • 【資格】
  • ・獣医師免許(2013年取得)
    ・普通自動車免許
    ・行動心理士

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