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「猫が吐いた。様子見でいい?」獣医師が見ている、受診の目安

「猫が吐いた。様子見でいい?」獣医師が見ている、受診の目安

まず見てほしい3つのこと

吐いた直後は慌ててしまいますが、まずこの3つを見てください。

1. 吐いたあとの様子

  • いつもどおり歩いて、毛づくろいをしているか
  • 隠れたまま出てこない、呼んでも反応がうすい、ということはないか

2. 回数

  • 今日、何回吐いたか
  • ここ1週間で、何回くらい吐いたか

3. 吐いたもの

  • フードがそのまま出たのか、毛玉か、黄色や白っぽい液体・泡か
  • 赤いもの、茶色っぽいものが混じっていないか

吐いたものは、片づける前にスマホで写真を撮っておくと、あとで相談するときに役立ちます。

夜でも、すぐ病院に連絡してほしいとき

次のどれかがあるときは、朝まで待たずに、かかりつけか夜間の動物病院に電話してください。

  • 何度もくり返し吐く。吐こうとしても、何も出てこない
  • ぐったりしている、元気がない(1)
  • 吐いたものに血が混じっている(1)
  • 吐いているうえに、下痢もしている(1)
  • オスの猫が、トイレで何度も力んでいるのに、おしっこがほとんど出ていない

最後の「オスの猫のおしっこ」は、吐くことと関係ないように見えるかもしれません。 でも、オスの猫は尿道が細く長いため、おしっこの通り道がつまりやすく、つまったときは緊急です(3)。完全につまってから命にかかわるまで、24〜48時間より短いこともあると説明されています(3)。具合が悪くて吐いているように見えて、実はおしっこが出ていなかった、ということもあるので、トイレの様子も一緒に見てください。

もうひとつ、ひもや毛糸、ヘアゴムなどを飲みこんだかもしれないときは、吐いていなくても病院に相談してください。ひもや毛糸を飲みこむことや、飲みこんだものがおなかにつまることは、猫が吐く原因のひとつとされています(1)。口やおしりからひもが見えていても、引っぱらずにそのまま相談してください。

今日か明日のうちに、相談してほしいとき

すぐに救急、というほどではなくても、早めに相談したほうがいいサインです。

  • ごはんを食べない、食べる量が明らかに減った(1)
  • 水を飲む量が増えた(1)
  • おしっこの量や回数が、増えた・減った(1)

とくに「食べない」が続くときは、早めに相談してください。 猫は数日続けて食べないと、肝臓に脂肪がたまる病気(肝リピドーシス、脂肪肝)を起こすことがあり、太りぎみの猫ほどリスクが高いとされています(4)。 「吐いたあと、ごはんに口をつけない」が丸1日続いたら、それだけで相談する理由になります。

様子を見てよいことが多いとき

  • 1回だけ吐いて、そのあとはいつもどおり元気
  • ごはんも食べるし、水も飲む、トイレもいつもどおり
  • 吐いたのは毛玉で、ときどき(1〜2週間に1回くらい)のこと

健康な猫でも、ときどき吐くことはあります(1)。毛玉を1〜2週間に1回くらい出すのは、ほかに問題がなく見られることもあると説明されています(1)。

ただし、様子を見るときも、次の「記録」はつけておいてください。

「よく吐く子だから」は、一度疑ってみてほしい

「うちの子は昔からよく吐くから」という声を、診察でよく聞きます。

でも、週に1回より多く吐くなら、一度獣医師に診てもらうことがすすめられています(1)。 毛玉についても、短毛の猫が毛玉をよく吐く場合は、かゆみのある皮膚の病気、ノミ、食べ物が合っていないなど、毛をたくさん飲みこんでしまう理由や、おなかの動きが変わる病気のサインのことが多い、という指摘があります(2)。

元気があっても、「回数が多い」「前より増えた」と感じたら、それは相談していいサインです。 とくにシニアの猫は、吐く回数の変化が、ほかの病気に気づくきっかけになることがあります。

様子見のあいだに、記録してほしいこと

病院でもオンラインでも、この記録があると話がとても早くなります。

  • 吐いた日時と回数
  • 吐いたもの(フード・毛玉・液体・泡、色)と、その写真
  • 食べてからどのくらいで吐いたか(食べてすぐか、しばらくたってからか)
  • 吐いたあとの元気、ごはんの量、水を飲む量
  • おしっこと便の回数、様子
  • 最近変えたこと(フード、おやつ、引っこし、新しい猫が来た など)
  • 気になる様子があれば、10秒ほどの動画

メモは、スマホのメモ帳で十分です。

様子見のあいだに、しないでほしいこと

  • 人の吐き気止めや胃薬、痛み止めを飲ませない。人の薬には、猫にとって危ないものがあります。たとえば人の解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンは、猫にはどの量でも使えないとされています(5)
  • 無理にごはんを食べさせない。食べないこと自体が相談のサインです
  • 「明日になればよくなるはず」と、何日も待たない

さいごに

猫が吐くたびに病院に行くのは大変ですし、「これくらいで聞いていいのかな」と迷う気持ちも、とてもよく分かります。 でも、迷っているその時間に相談していいんです。様子見でいいと分かれば、安心して夜を過ごせます。かかりつけに行く前に迷ったとき、通院がつらい子の再診や相談をしたいときに、この記事を書いている獣医師RIAIに、おうちから相談できます。
「1回吐いたけど、朝まで様子を見ていい?」「最近吐く回数が増えた気がする」など、お気軽に予約してください 15分1650〜でお受けしております。

参考にした資料

(1) Cornell Feline Health Center. Vomiting. Cornell University College of Veterinary Medicine(2021年更新) (2) Cannon M. Hair balls in cats: a normal nuisance or a sign that something is wrong? J Feline Med Surg. 2013;15(1):21-29. (3) Cornell Feline Health Center. Feline Lower Urinary Tract Disease. Cornell University College of Veterinary Medicine(2016年更新) (4) University of Illinois College of Veterinary Medicine. Hepatic Lipidosis: A Serious Problem When Cats Stop Eating. (5) Cornell University College of Veterinary Medicine. Small animal toxins(Consumer clinical care guidelines)

 


 

獣医師岡本理愛

このコラムを執筆したのは

獣医師 岡本理愛
  • 【経歴】
  • 2023年 国立大学共同獣医学部 獣医学科 卒業
    2023年 都内一次診療の動物病院にて勤務(犬猫の一般診療・予防医療・外科処置)
    2024年都内1.5次診療の動物病院にて勤務(一般診療・外科処置・腫瘍科診療)
  • 【資格】
  • ・獣医師免許(2023年取得)

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